The Great Voyage Times -4ページ目

Zephyros ++ 縫製の聖地を巡って

(この6/3付け記事は連絡船が海賊の被害に遭ったため、掲載に遅れが生じました。関係各位には謹んでお詫び申し上げます。)


5月28日より始まったポルトガルとイングランドのディヴにおける投資戦は7日目を迎えた。序盤は英国の商会を先頭とした陣営が押しに押し、何度か同盟化に成功した。しかしながらこのディヴ攻略は英国内で十分に意思統一された上での作戦ではなかったらしく、一部商人のみにしか利がない作戦であるという声が次第に大きくなりつつある。そしてついに6月2日には陣頭を取っていた商会の戦線離脱表明があり、関係者の間に困惑が広がっている。


一方、ここのところ勢力の低下が続いているポルトガルは背水の陣の構えを見せ、一般投資家などにアピールを開始。一般投資家もこれ以上の敗退を嫌い、徹底抗戦という流れとなった。ポルトガルは職人を目指すものへのサポートなども表明。ムードは悪くないようだ。


残るイスパニアは一時期ディヴに影響力を持っていたが、現状は静観し、自国の増強を図っている模様。


発展度はついに大都市より上となってしまったディヴだが、現地の人は驚きと困惑を隠せない様だ。
「時折すぐそこの海で海賊と海軍が戦闘を始めるので迂闊に海に出れんよ……」
と、地元の漁師は頭を抱えている。
ディヴの町役人も当初は発展し喜んでいたが、収束の見えない状況に頭を悩ませている。
「皆様の投資は有難いのですが、使い道に困り果てております。今度どうすればいいのか……」


英国は意見の集約を計り、週末にも投資艦隊を組むと発表。しかしポルトガルも十分な対抗資金を用意しているとの噂だ。混迷の度を増してきているディヴは、この先どのような結末を迎えるのか注目されている。


編注:イングランドの攻勢に対し、ポルトガルは膨大な資金を投入した模様。ポルトガルはイングランドに大差を付け、状況は収束方向に向かいつつある。


報告:[Zephyros]西インド支部の編集者の手記/編集:中の人)

謎の漁船団各地に現る

最近各地に謎の漁船団が現われるという報告が多発している。


これは先日からリスボンで始まった通称「イワシ祭り」で、大量の魚を必要とされるためであるとのこと。イワシ祭りは釣りや料理の腕を競い異性にアピールするというお祭りで、男性からは愛の詩集を、女性からはマンジェリコの小鉢を送るのが一般的。


しかしこの風習に関係の薄いイスラム圏のナイル漁師の話では、「あの漁船団はいきなり現れたんだ、気味が悪くてまともに漁業できたもんじゃない」とのこと。


報告:[Zephyros]元ポルトガル人亡命者/編集:中の人)

Notos ++ 地中海航路の確立

 地中海全域の航路確立にイングランドが乗り出している。


 イングランドは地盤である北海、ポルトガルより奪取したアフリカ東岸地方を中心として勢力を伸ばしてきたが、その多くは危険海域にあり、海賊による被害が絶えない。安全海域を出ずに利益を上げられる航路の確立はイングランド商人たちの悲願となりつつあった。


 しかしながら最も安全の保たれた海域である地中海地方はイスパニア・ポルトガルといった地中海国家の地盤であり、辛うじて先日の大海戦にてポルトガルよりジェノバを確保したものの、それ以外は東地中海のカイロ、アンコナといった比較的重要度の低い港としか同盟を結べていない。


 イングランドは数度に渡ってアテネやチュニスに攻勢をかけたが、その尽くがイスパニアによる防衛という結果に終わっていた。これに対してインドやカリブ海の特産である宝石の輸出先を求めていたポルトガル、イスパニア両国は、宝石需要の高い北欧地域への投資を強化。一度は琥珀の産地でありるリガを奪われ、その他の港にもこの二国の影響力が大きくなりつつある。北海に強い帰属意識を持つイングランドは、これに強力に反発。報復の意味を込めた地中海への再侵攻という形になって現れた。


 当初は個人投資家の道楽かと思われたこの投資戦は一般投資家に安全な航路の悲願を呼び起こさせ、国家単位の大投資戦へと発展。目標はイタリア半島北部の都市ピサ、そして古都アテネである。一週間に及ぶ投資戦の結果、イングランドはポルトガルよりピサを奪取。
ピサの町の安定と発展を共に手に入れた。一方のイスパニアはアテネを防衛したが、英国のアテネへの影響は大きく油断できない情勢となっている。


報告:[Notos]一般商人/編集:中の人)

Zephyros ++ インド海域の戦い

 インド航路の大半を確保し香辛料貿易の独占を目指してきたポルトガルだったが、5月中旬から始まったカリカット海域での戦いでイングランドに大敗。ここにきて窮地に立たされた。


 ポルトガル軍は従来のガレー船を主体とする白兵戦に望んだ。しかしイングランド軍は北海の豊富な鉱物資源と進歩のめざましい大砲製造技術を背景に、ガレオン船に搭載した大型大砲による砲撃戦に打って出た。


 海戦当日。イングランド軍は大型大砲による砲撃と豊富な補給物資で、白兵主体のポルトガル軍を寄せ付けることなく圧倒した。翌日ポルトガル軍はは戦況を打開すべくゴア方面とコチン方面に戦力を分割、挟撃を仕掛けたが、カリカット沖の艦隊の密集により協定によって決められていた安全海域が機能せず大敗。その後戦意喪失したポルトガル軍は戦況を打開することはできなかった。


 この大戦の結果、カリカットはポルトガルの影響を失い事実上のイングランド領土になった。
また、この大戦中イスパニアによる大量投資が西アフリカに行われ、ポルトガル商人は苦境に立たされるようになった。


報告:[Zephyros]元ポルトガル人亡命者/編集:中の人)

ロンドンの停滞

 都市に投資を行うと、それは研究開発や増産ラインの製造に当てられ、交易所や道具屋に新しい産物が並ぶようになる。その目安として「発展度」という値が各都市の役人から発表されているが、世界で始めて発展度が50000に達したイングランドの首都ロンドンで奇妙な現象が起きている。どれだけ投資を行っても50000を超えるのは一時のことで、次回発表時には40000台に落ちているというのだ。この現象について、都市の発展度に詳しいGMフラッグ氏に有志が行ったインタビューの内容が入手できたため、ここに紹介する。


<blockquote>GMフラッグ>お待たせいたしました
GMフラッグ>こんばんは
インタビューア>こんばんは。
GMフラッグ>よろしくお願いいたします。
GMフラッグ>お問い合わせいただいた件につきまして、ご案内いたします。
インタビューア>よろしくお願いします。
GMフラッグ>こちらは、ロンドンの発展度が50000を超えるたびに下がってしまう、との事でございますが
GMフラッグ>発展度につきましては、状況により、減少する場合がございます。
GMフラッグ>減少する場合の詳細につきましては、ご案内させていただく事はできませんので、
GMフラッグ>その点につきましては、お客様同士の情報交換などをもとにご推察いただけますよう、お願いいたします。
インタビューア>なるほど。50000が上限ということではなく、単に下がってるだけと。まとめて100Mとか投資すれば、50000を軽く超える発展度にすることできますか?
GMフラッグ>恐れ入ります、投資の状況により発展度がどのように上昇するか、という点につきましても、ご案内させていただく事はできないものとなります。
インタビューア>う~ん、では質問を変えますね。発展度は50000超えてもちゃんと見合うだけ投資してれば上がっていきますか?
GMフラッグ>ご案内できます内容といたしましては、投資を行うと発展度が上昇する事、および状況により発展度は減少する場合がある事が
GMフラッグ>お伝えできます内容となります。
インタビューア>では、もうちょっと抽象的な質問にしますね。発展度に上限はありますか?
GMフラッグ>大変恐れ入りますが、発展度の上限がいくつであるか、という点につきましても、お伝えする事はできないものとなります。
インタビューア>う~ん、じゃあ、もしかしたら50000が上限かもしれないけど、それを確かめるためには、お金を限界まで突っ込んで自分で試してみろってことですかね。
GMフラッグ>お客様にて色々とお試しいただくほかに、他のお客様との情報交換などもご検討いただきまして
GMフラッグ>ご推察いただければと存じます。
インタビューア>了解です。
インタビューア>質問は以上です。有難うございました。
GMフラッグ>それでは、また何かございました際には、私どもサポートまでお問い合わせください。<br />
GMフラッグ>これにて失礼させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。<br /></blockquote>

 以上の通り、発展度については未解明な部分が多く、様々な手段でもって検証を行う必要があるとGMフラッグ氏は述べている。現状イングランドの有志は停滞の原因が判明するまで首都ロンドンへの投資は控えるよう、呼びかけを行っている。

ダイヤモンドの卸売り価格が上昇

 その莫大な利益を巡ってシエラレオネケープ などで激しい投資合戦が行われていたダイヤモンド だが、この度その卸売価格が大幅に引き上げられることになった。 4/27に行われた宝石産出都市機構会議の終わりに発表された声明によると、卸売価格の引き上げは以下の理由によるとされた。


1. 乱採掘による資源枯渇の恐れ

2. 供給過多によるブランド価値低下からの保護

3. 投資の一極集中による市場開拓の減速の防止


  そのどれもが確かに重要であるとはいえ、莫大な投資を行っていた商人は多大な損失を被ることになる。何らかの保証が行われてしかるべきだとする声も上がっているが、いまのところ機構の中心であるイスパニア、イングランド、ポルトガル三国からは何のコメントも得られていない。

北海の新型船

 英国の富の基盤である北海に新しく二つの船が開発された。ハンブルグ のピンネース級と、ロンドン のフリゲートである。 ハンブルグ造船所が開発したピンネース級、特に戦闘用ピンネースは軽ガレオンの欠点であった乗員数問題を解決した船とされ、発表間もない船であるにもかかわらず、軽ガレオンから戦闘用ピンネースに乗り換える軍人が続出した。また危険海域に望む冒険家からも、厚い装甲と高い縦帆性能から有望視されている模様。「なによりスタイルがスマートで格好いいよね」という声も多く聞かれ、ピンネースは今後の中型帆船の主流となりそうだ。


 これに対し、英国王立造船所が開発した新鋭のフリゲートの売れ行きは芳しくない。金額はピンネースと同程度ながらも、取り扱いが難しく、高い冒険/商人経験が要求される。また船倉・耐久力・砲室・船室に劣り、造船所前は「一体なんでまたこんな船を開発したんだろうねぇ」と首を傾げるイングランド軍人で溢れかえった。開発資金の回収は難航すると予想され、英国政府は嬉しいニュースのはずのこの二種類の新型船に対して頭を悩ませている。


(報告:[Notos]英国私掠海賊A/編集:中の人)

Notos ++ シオラレオネ総力戦

 4/22、シオラレオネ において大規模なダイヤモンド 鉱脈が発見された。シオラレオネは高い付加価値を持つダイヤモンドの産地としては最もヨーロッパに近く、比較的遠方に本拠地を持つイングランドが敏感に反応。一夜のうちにシオラレオネに対し巨額の資本をつぎ込み、無血革命を達成した


 この寝耳に水の出来事に対しトリデシリャス条約によりアフリカの権益を手にしていたポルトガルは、4/23、4/24両日に渡って投資艦隊を派遣。これに対しイングランドも私掠艦隊と投資艦隊を次々と派遣した。両国の首都では刻々と現地の状況が伝えられ、劣勢が伝わると一口投資の呼びかけが強まるなど緊迫した状態が続いた。本日現在で戦線は膠着状態にありイングランドが辛うじて支配権を守っているが、上記のように非常に有望な交易品を産するだけに、今後とも激しい戦いが繰り広げられるのは間違いないだろう。この三日間の投資合戦により、シオラレオネの発展度はイスパニアの首都であるセビリア を抜き去った模様。


 現状シオラレオネを巡る戦いはNotosのみだが、Zephyrosにおいても徐々に投資熱が高まりつつあり、支配率30%台で三国が並ぶという状況となっている。このまま三国で支配率を分け合い、交易所にかけられる圧力を分け合うか、それとも一気に一国による支配を進めるか、微妙な駆け引きが続けられているようだ。

トリデシリャス条約

 ビザンツ帝国の滅亡により東洋との交易路を失った諸国は、イスラム勢力の駆逐、新たな交易路の探索を最優先課題とする。イスラム勢力との戦いに疲弊する地中海の諸国を尻目に、地中海の西端に位置するポルトガルはいちはやくアフリカ航路を開拓し、喜望峰に到達した。そのため今でもアフリカ方面はポルトガルが優勢だが、これに対し出遅れたイスパニアは西回り航路に目をつけ、ポルトガルに相手にされなかったコロンブスを登用。彼により西インド諸島(カリブ)が発見される。


 ジャマイカの豊かな資源からいちはやく巨大な利益に繋がると確信したイスパニアは、ローマ教皇の勅書によりポルトガルをアフリカに閉じこめ、西回り航路を独占しようと画策した。しかし既に一大強国となっているポルトガルが黙っているはずがなく、事態は紛糾。最終的には教皇の仲裁により、両国はトリシリャス条約を結ぶ。これは西経47.5度付近の子午線を境に、東をポルトガル、西をイスパニアが「管理する」というものだった。

マスケット銃は陸戦を変えるか

 大海戦の影の主役とも云うべき、大砲。この性能により戦いの趨勢が大きく変わることからも、各国では近頃、新型の強力な威力を持った大砲の研究に余念がない。一方、軽快な運動性が要求される陸戦部隊においては、大砲の小型化という方向で開発が続けられている。この度イスパニアが大量生産に踏み切ったマスケット銃は、こうした流れに更に拍車をかける可能性がある。


 マスケット銃はマッチロック式点火装置を備え、銃身の長さは約50インチ、 重さ20ポンド。主に塁壁の上に固定して用いること想定した防御用の重小銃だ。物珍しさも相まってセビリアの交易所には各地の軍人が訪れたが、銃器に詳しい准士官の青年は、眉間に皺を寄せながら本紙の取材に答えた。


「これまでの火縄銃よりは多少マシかもしれないけど。まず、重すぎるね。それに値段が高すぎる」砲術のエキスパートである海軍士官は、どうしても白兵戦になると海賊に劣るのだという。「だからウチの船員どもに小銃でも持たせてさ、迎撃できないかと思ったんだけど。陸は知らないけど船の上は足場も悪いからね。とても実践向きとは思えないな。これじゃあ威嚇程度にしか使えないよ」


 このような声に対し、開発に携わった工房職人は以下のように答えた。


「小銃の開発はまだ始まったばかりですからね。まだまだ改良の余地はありますよ。これが更に小型化されて、命中率が上がり、扱いも楽になったら、鎧なんて過去の遺物になるでしょうね。そのための研究は続けられています」


 確かに鎧をも貫通する携帯小銃が普及すれば、動きの鈍くなる鎧は足かせにしかならなくなる。軍人たちは軽量な鎧……あるいは服装……に姿を変え、長剣や槍ではなくエストックを腰に帯びて駆けめぐる。戦場がそのような光景に変わる日も、そう遠くはないのかもしれない。